じゃあ、とうこちゃん!今日もお耳の検査いくよ~!

はーい!シール♪シール♪

とうこも一人で検査行けるようになって、成長したなぁ…

 赤ちゃんの頃は、脳波を使うABR検査でしか聞こえを調べられません。

 だから、成長して初めてCOR検査を受けるとき、どんな検査なのか不安になるママも多いと思います。

 トリケラ家の娘たち(とうこ・そら)も、4か月頃から療育に通い、そこで初めてCOR検査を経験しました。

 この頃はヘッドホンがつけられないため、補聴器をつけず“そのままの聞こえ”で反応を見ていく形でした。

 補聴器をつけるようになってからは、補聴器を通した聞こえ(装用閾値)も測れるようになりますが、赤ちゃんは集中が続かないため、補聴器あり・なしのどちらか一方だけを測る日もよくありました。

 COR検査は、そんなふうに子どもの発達段階に合わせて“できる範囲で正確に近づけていく”幼児向けの聴力検査です。

 この記事では、ゼロからわかるCOR検査のしくみを、経験をまじえてやさしく解説します。

  • COR検査は、赤ちゃんや幼児でも“自然な反応”を使って聞こえを調べられる検査
  • ヘッドホンが使えない時期は両耳の大まかな聞こえ、つけられるようになると片耳ずつ詳しく測れる
  • 一度で完璧に測る検査ではなく、何回か重ねることで精度を高めていく“積み重ね型”の検査

COR検査とは?

 COR検査(条件詮索反応検査)は、赤ちゃんや幼児が“聞こえたときに自然と出る反応” を利用して聴力を調べる検査です。

 赤ちゃんや幼児は、音が聞こえたら反射的にそちらを見る目を向ける体を動かすなどのサインを出します。

 この反応に、光るおもちゃや動くぬいぐるみを組み合わせることで、「音がしたら反応する」という学習が成立し、周波数ごとの聞こえを測定できるようになります。

  ここで測る周波数(Hz)は、主に250〜4000Hz。

 これは、人の会話に必要な「スピーチバナナ」に含まれる重要な範囲で、詳しくは『Hzとは?音の高さのしくみ』で解説しています。

どうやって行うの?

ヘッドホンが使えない時期(赤ちゃん〜2歳頃)

 この時期はスピーカーで音を鳴らし、子どもの顔向きや反応を読み取ります。

 ただし、スピーカーでは左右の耳を分けて測れないため、“両耳まとめての聴力” がわかる検査になります。

ヘッドホンが使えるようになる時期(2〜3歳頃〜)

 トリケラ家の娘たちもこの頃にヘッドホンデビューしました。

 ヘッドホンがつけられるようになると、右耳・左耳それぞれの聴力が測れるようになり、精度が大きく上がります。

周波数ごとに順番に測る

 1回の検査の中で『250 / 500 / 1000 / 2000 / 4000Hz』の5つを順番に測定し、それを左右の耳で行うため、1回の検査で10回の反応を集めるスタイルになります。

 検査を楽しく続けてもらうため、ボタンを押すとテレビからアニメが流れる・成功するとご褒美シールがもらえるなど、療育ではさまざまな工夫が取り入れられています。

COR検査でどこまで正確にわかる?

聞こえの“おおまかな傾向”がつかめる

 幼児は集中力が続かないことが多いため、成人の純音聴力検査ほど厳密ではありませんが、

  • 中程度の難聴
  • 高い音が弱い
  • 補聴器でどこまで上がるか などの方向性は十分に把握できます。

 聴力の強さを表すdBについては、こちらの記事でも解説しています。

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精度は“積み重ね”で高くなる

 幼児期は ±10dB ほどの幅をもって読むのが一般的です。

 そのため1回でできなくても問題なく、複数回の検査を重ねながら精度を高めていきます。

COR検査一問一答(Q&A)

じっとできなくても検査できる?

大丈夫です。光るおもちゃやアニメを使って楽しく進めます。

泣いていたら検査はできない?

泣いていても、音が鳴った瞬間にそちらを見る反応が取れることがあります。ただし、検査室や検査自体を嫌いにならないように、激しく泣くようならば検査はお休みしてまた次回行うこともできます。

どれくらい時間がかかる?

一般的には15〜30分ほどです。

どこで受けられる?

病院(耳鼻科・小児難聴外来)、療育センター、乳幼児相談、県立ろう学校などで実施されています。

何回もやって費用は大丈夫?

医療保険や公費(受給者証・医療助成)が使えることが多く、回数で料金が増えることはほとんどありません

まとめ

 COR検査は、赤ちゃん〜幼児の発達に合わせて、子どもができる方法で“聞こえの反応”を少しずつ積み重ねていく検査です。

 ヘッドホンがつけられるようになると片耳ずつ測れるようになり、補聴器調整にも役立つ大切な情報が得られます。

 泣いてしまう日も、集中できる日も、すべてがその子のペース。

 無理なく続けながら、聞こえの姿を丁寧に見守っていくことが大切です。

赤ちゃんの頃に上手く検査できなくても大丈夫!

難聴児はこれから1ヶ月に何回も、数年で何百回も検査していくことになるから、3~4歳ころから少しづつ上手にボタンを押せるようになっていくよ!