こんばんは!トリケラさんです!
「リファー」という言葉を初めて聞いたのは、生後3日のとき。
新生児聴覚スクリーニング検査の結果を聞いた瞬間はどこか他人事で、「まぁどうせ大丈夫だろう、他の人も大丈夫なんだし」と思っていました。
そこから何度か検査を受けるうちに、少しずつ分かってきたことがあります。
——“早く気づけたこと”は、決して悪いことじゃないということ。
- 「リファー」は“要再検査”のサインであり、難聴が確定したわけではない
- 赤ちゃんの日常の中にも、聞こえのサインが隠れている(音に反応する・顔を向ける・声に反応するなど)
- 焦らず検査を受け、補聴器・療育・支援制度などにつなげていくことが大切
今回は、赤ちゃんの「聞こえ」に気づくサインと、検査からサポートにつながるまでの流れを、私の体験も交えながらお話しします。
Contents
新生児聴覚スクリーニング検査とは?
生まれたばかりの赤ちゃんの「聞こえ」をチェックする検査が、新生児聴覚スクリーニング検査です。
産後の入院中(または退院前)に、ほとんどの産院で行われています。
検査の方法はとてもシンプルで、赤ちゃんが眠っている間に耳に小さな機械をつけて音への反応を調べます。
痛みはまったくなく、ほんの数分で終わります。
結果は「パス(Pass)」か「リファー(Refer)」のどちらか。
「パス」は“聞こえに問題がなさそう”という意味で、「リファー」は“もう少し詳しく調べてみましょう”というお知らせです。
リファー=難聴が確定、ということではありません。
むしろ、早い段階で「もしかしたら?」と気づけたチャンスとも言えます。
新生児聴覚スクリーニング検査の流れや結果の意味の詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。
補足:検査費用の助成について
新生児聴覚スクリーニング検査は、自治体によっては公費負担(助成)の対象になる場合があります。
内容や金額は地域によって異なりますが、以下のような例があります。
- 東京都(都内区市町村):検査費用の一部(上限3,000円)を公費負担。
- 神戸市(兵庫県):自動ABR検査 上限5,000円、OAE検査 上限3,000円。確認検査も助成対象。
- 大東市(大阪府):初回・確認検査ともに、自動ABR検査 上限6,700円、OAE検査 上限3,000円を助成。
- 川口市(埼玉県):自動ABR検査 上限5,000円、OAE検査 上限3,000円。原則、生後1か月以内の受検が対象。
助成内容(上限額・対象検査・申請方法など)は自治体によって異なります。
詳しくはお住まいの市町村の母子保健窓口や分娩施設、ホームページなどで確認してみてください。
「リファー」と言われたとき、どう受け止めればいい?
検査の結果が「リファー」と伝えられると、心がざわつきますよね。
「うちの子、聞こえていないの?」「何か悪いことをしたのかな?」——
わたしも最初はそんな気持ちでいっぱいでした。
でも、リファーというのは「もう少し詳しく調べてみましょう」というお知らせです。
難聴が確定したわけではありません。
実際、再検査で「異常なし(パス)」になるケースも少なくありません。
赤ちゃんはまだ眠りが浅かったり、耳に羊水が残っていたり、検査中に動いたりして、一時的に反応がうまく取れないことがあるからです。
大切なのは、焦らず次のステップに進むこと。
生まれてすぐの赤ちゃんは変化が大きく、聞こえの状態も少しずつ変わっていきます。
- リファー=“要再検査”のサインであって、確定診断ではない
- 赤ちゃんの一時的な状態でリファーになることもある
- 焦らず次の検査を受けることが大切
赤ちゃんの“聞こえ”に気づくサイン
検査の結果を待つ間や、再検査の案内が来るまでのあいだ、ママができることのひとつが「日常の中で“聞こえ”を観察すること」です。
赤ちゃんは言葉で反応できませんが、音や声への反応から少しずつ“聞こえのサイン”を見つけていくことができます。
わたしがとうこに実際にやっていたのは——
- 寝ているときに、手を叩いたら体がビクッと反応するか
- 起きているときに手を叩いたら、音のほうを向くか
- 静かなときにテレビをつけたら、テレビのほうを向くか
- 顔が向いている方向と反対側から名前を呼んだら、こっちを向くか
眠っていたり、機嫌が悪かったりするだけでも反応は変わるので、“反応がない=聞こえていない”とは限りません。
- いろんなタイミングで試してみる(寝ているとき・起きているとき・静かな環境など)
- 同じ条件で何度か確認してみる
- 気づいたことを医師や健診で相談してみる
再検査・精密検査の流れ
「リファー」と言われたあとに行うのが、再検査(確認検査)です。
産院や紹介先の病院で、もう一度赤ちゃんの聞こえを確認します。
再検査では、初回と同じように赤ちゃんが寝ている間に音への反応を調べるOAE(耳音響放射検査)やAABR(自動聴性脳幹反応検査)を行います。
これも痛みはなく、数分で終わります。
再検査で再び「リファー」となった場合は、精密検査ができる医療機関(耳鼻科・総合病院など)を紹介されます。
- 新生児聴覚スクリーニング(産院で)
- 再検査(産院・小児科・耳鼻科などで)
- 精密検査(指定医療機関で)
もし「難聴」と診断されたら
「難聴」と診断されると、ショックで涙が止まらないママもいると思います。
でも、ここからがスタートです。
日本では、難聴のあるお子さんやご家族を支えるための制度・支援・専門家がしっかり整っています。
必要なサポートを受けながら、一歩ずつ進んでいけます。
- 補聴器によるサポート 補聴器を使うことで音の世界が広がります。専門の医師や言語聴覚士(ST)が装用を支援し、補装具費支給制度(公費補助)も利用できます。
- 療育でことばと心の土台づくり 聴覚を中心にした専門的な指導を通して、ことばや表情の発達を育みます。聴覚支援センターや発達支援センターなどで相談できます。
- 教育・就学のサポート 難聴学級や通級指導教室、特別支援学校など、子どもの状態に合った学びの場を選べます。学校ではFMマイクなどの機器も活用できます。
- 行政・制度による支援 障害者手帳(聴覚障害)や医療費助成(自立支援医療)などの制度で、生活や医療の負担を軽減できます。
必要な支援は、もうすでに揃っており、どの制度も、ママと赤ちゃんが安心して進めるように整えられています。
だから安心して、赤ちゃんと次のステップに進んでいきましょう!
サポートの詳細については、それぞれこちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
とうこが難聴と診断された帰り道、あの日は、今までで一番泣きました。
次の日になっても涙が止まらず、「私のせいなのかな」と何度も思いました。
小川のせせらぎや鳥のさえずり、音で感じる季節の移ろいを、この子は聞くことができないのだと思うと、世界が急に静まり返ったように感じました。
でも、とうこは昨日と何も変わらなかった。
ニコニコしながら手を伸ばして、抱き上げると安心したように笑ってくれた。
その瞬間、「この子の世界はちゃんとここにある」と気づいきました。
障害を受け入れるまでには、少し時間がかかったけれど、今では、ありのままのとうこが本当に愛おしいです。
とうこの難聴を受け入れるまでの話は、また別の記事でね!


