障害者手帳があっても一般枠で公務員になれる?|採用区分と働き方をわかりやすく解説
今日は昨日の続きの「公務員編」だよー!
「障害者手帳があっても、公務員の一般枠って受けられるの?」
公務員を目指す人の中には、まずここが気になる方が多いはずです。
結論から言うと、障害者手帳があっても公務員試験の一般枠は受験できます。
公務員には 一般枠と障害者枠 の2つの採用区分があり、障害者枠では「合理的配慮」や「受験方法の調整」が受けられる一方、一般枠では通常と同じ選考で挑戦するという違いがあります。
どちらが正解というより、“どんな働き方や環境が合うか”で選ぶことが大切。
この記事では、公務員の一般枠・障害者枠の違いや、実際の働き方のイメージをわかりやすく解説します。
- 障害者手帳があっても、公務員の一般枠は受験できる
- 採用区分に関係なく、働きながら合理的配慮を申請できる
- 区分よりも「自分に合う環境で長く働けるか」が大切
難聴児は公務員への就労時に一般枠は受験できる?
結論として、障害者手帳があっても公務員試験の一般枠は受験できます。
公務員の採用区分は「一般枠」と「障害者枠」に分かれていますが、手帳の有無だけで一般枠が制限されることはありません。
一般枠は、すべての受験者が同じ条件で挑む区分で、筆記試験・面接・適性検査なども通常の流れで行われます。
「障害者枠で受けないといけない」という決まりはなく、“自分の力を一般枠の選考基準で評価してほしい” と考える人は一般枠を選ぶことができます。
一方で、合理的配慮(配慮付き受験)を希望する場合は、区分にかかわらず事前申請が必要になるため、自分の特性や受験での不安を踏まえてどちらの枠で挑むかを決めるのがおすすめです。
障害者枠との違いはどこ?
公務員試験には「一般枠」と「障害者枠」がありますが、大きな違いは “選考方法” と “受けられる配慮” にあります。
一般枠
通常の受験者と同じ試験内容・基準で評価されます。
筆記試験のレベル、面接の評価軸、配点なども共通で、障害の有無で評価基準が変わることはありません。
障害者枠
障害のある受験者向けに設けられた区分で、受験倍率が異なるほか、試験内容が軽減される場合があります。
さらに、
- 補聴器・人工内耳の使用
- 座席の配慮
- 筆記試験の時間延長
などの合理的配慮を受けながら受験できるのが特徴です。
ただし、
「障害者枠=働き方が限定される」
「一般枠=配慮が受けられない」
というわけではありません。
実際の勤務では、どちらの枠で入っても必要な合理的配慮は申請できます。
違いはあくまで “採用時点での試験方式” にあると考えるとイメージしやすいです。
一般枠と障害者枠、どちらを選べばいい?
結論として、どちらが正解というより“自分に合う環境で働けるか” が一番大切です。
選び方の軸は、障害の程度そのものよりも試験との相性・働き方のイメージにあります。
一般枠が向いているケース
- 通常の筆記試験や面接に大きな不安がない
- 「他の受験者と同じ基準で評価されたい」と感じる
- 配慮がなくても受験が成立すると判断できる
一般枠は、競争が激しい一方、配属やキャリア形成の幅が広く、より多様な業務を経験しやすい傾向があります。
障害者枠が向いているケース
- 受験の段階で合理的配慮が必要
- 静かな環境や座席の配慮が不可欠
- 長時間の筆記試験が難しい
障害者枠では、受験時から配慮を受けられるため、試験本来の実力を発揮しやすいメリットがあります。
仕事内容はどう変わる?
障害者枠だから必ず仕事内容が狭まる、というわけではありません。
ただし、自治体や配属先では、本人の特性・体調・安全性を考慮して 担当する業務の範囲を調整するケース もあります。
これは「制限」というより、長く働けるようにするための配慮・合理的判断として行われます。
一方で、一般枠と同じように幅広い業務を担当したり、専門性を生かしたキャリアを築く人もいます。
大切なのは、「いまの自分が一番力を発揮しやすい選考方法で受験できるか」という視点で選ぶこと。
どちらの区分で入っても、働き始めてから必要な合理的配慮は申請できます。
公務員として働くときの“合理的配慮”とは?
公務員として働く場合、採用区分に関係なく、必要な合理的配慮を申請できます。
これは法律(障害者差別解消法・障害者雇用促進法)に基づくもので、障害者枠・一般枠のどちらで採用された人にも適用されます。
合理的配慮とは、「本人が働くうえで不利にならないよう、職場が環境や方法を調整すること」。
特別扱いではなく、“同じスタートラインに立つための調整” と捉えられています。
合理的配慮についての基本の解説記事はこちらです。
合理的配慮とは?|手帳の有無・対象・具体例を法律の根拠からわかりやすく解説
よくある合理的配慮の例
◆静かな席への配置調整
周囲の雑音が少ない席にすることで、聞き取りに集中しやすくなります。
◆会議での視覚情報の補助
資料の事前共有、議事録の迅速な共有、要点の文字表示など、音声だけに頼らない情報提供が可能です。
◆対面でのコミュニケーション配慮
相手が話すときに口元が見える位置に立つ、明瞭に話すなど、日常のコミュニケーションをスムーズにする調整です。
◆電話対応の頻度調整
電話音声が聞き取りにくい場合、担当業務を再配分することがあります。
このように、
- 補聴器・人工内耳に関する配慮
- 電池交換のタイミング
- 機器の誤作動時の対応
などを職場が理解しているだけで、働きやすさが大きく変わります。
職場での雑音が大きい場合や、聞き取りに負担がかかりやすい環境では、補聴援助システム(ロジャー)の導入で聞き取りが安定することもあります。
ロジャーについては、こちらの記事をあわせてご覧ください。
ロジャーとは?|子どもの聞こえを補う“補助デバイス”をやさしく解説
配慮は一度きりではなく、働きながら調整できる
最初に決めた配慮が合わなければ、面談を通じて追加・変更ができます。
公務員の職場は人事担当が継続的にフォローすることが多く、環境の見直しがしやすい仕組みになっています。
重要なのは、
「どんな配慮が必要かを本人が言語化できること」。
これは採用枠を問わず、長く安定して働くための大切なステップです。
子どもにとって“どんな働き方が合うか”を考える視点
一般枠・障害者枠のどちらを選ぶにしても、いちばん大切なのは 「子ども本人が安心して働ける環境かどうか」 という視点です。
公務員は業務の幅が広く、部署によって求められる力も環境も大きく異なります。
そのため、採用区分だけを見るのではなく、働く場面ごとの“相性” をイメージしておくことが重要です。
公務員の仕事で重視されやすいポイント
◆雑音の少ない環境で集中できるか
窓口・電話が多い部署は音が多く、聞き取りの負担が続くことがあります。
一方、資料作成が中心の部署は静かで働きやすいこともあります。
◆コミュニケーションの取りやすさ
対面で説明する場面が多い部署では、口元が見える位置や視覚的な補助があると理解が安定しやすくなります。
◆得意な作業スタイル
コツコツした事務作業が向いているのか、人と関わる仕事が好きなのかで、配属との相性が大きく変わります。
◆体調や集中力の波
補聴器の聞き取り疲れが出やすい場合、休憩をこまめに取れる環境が合うこともあります。
また、公務員と民間企業では、求められる働き方や環境にも違いがあります。
民間企業で働く場合の特徴は、こちらの記事で詳しく解説しています。
障害者手帳があっても一般枠で働ける?|民間企業の働き方と“環境との相性”をわかりやすく解説
区分選びよりも大切なこと
一般枠・障害者枠の違いはあくまで「入口」であり、長く安心して働き続けられるかどうかは、配属先の環境との相性が大きく影響します。
どちらの枠で入っても、
- 人事担当との面談
- 合理的配慮の見直し
- 業務の調整
を通じて、自分に合う働き方をつくっていくことができます。
働き方は最初に決めたら終わりではなく、働きながらアップデートできる ― それが公務員の大きな強みでもあります。
まとめ
障害者手帳があっても、公務員の一般枠は問題なく受験できます。
一般枠と障害者枠には試験方法や受けられる配慮の違いがありますが、どちらが正しいという答えはありません。
大切なのは、本人が力を発揮しやすい選考方法を選ぶことです。
また、採用区分にかかわらず、働きながら合理的配慮を申請できる仕組みが整っており、業務の調整や環境づくりは人事担当と相談しながら進めていくことができます。
公務員の仕事は幅広く、部署によって働きやすさが大きく変わるため、区分よりも「どんな環境なら安心して働けるか」という視点が重要です。
入口で迷う必要はありません。
自分の特性に合った環境を選び、働きながら調整していくことで、安心して長く働く土台をつくることができます。
いろいろな進路を見据えて、今できることを考えていこう!


