難聴児でも水泳はできる!|安全に楽しむためのポイントとパラリンピックの例を解説
ママ早くスイミング行こー!
はいはい、ちょっと早いけど行こうか!
「難聴の子どもでも、水泳ってできるのかな?」
補聴器を外すことや、プールでの指示が聞こえるかどうかを不安に感じる親御さんは多いと思います。
でも安心してください。
トリケラ家の感音性難聴児の長女とうこ・次女そらは、2人ともスイミングに通っています!
水の中ではそもそも音が届きにくく、動きを“目で見て進める”場面が中心のため、難聴児でも無理なく取り組めるスポーツです。
さらに、パラリンピックでも聴覚障害の選手には“光の合図”が使われるなど、音に頼らない方法が公式に採用されています。
この記事では、難聴児が水泳を安全に楽しむためのポイントや、事前に知っておきたい工夫をわかりやすく紹介します。
- 難聴児でも水泳はできる! 水中は視覚で進めるスポーツだから不利になりにくい
- 補聴器を外しても心配しなくて大丈夫。 合図を視覚で示せば安心して参加できる
- パラリンピックでも光の合図が採用されており、音に頼らず安全に進められる仕組みがある
難聴児でも水泳は問題なくできる!
結論として、難聴児でも水泳は十分にできるスポーツです。
補聴器は水に弱いためレッスン中は外しますが、短時間外していても聞こえの育ちは止まりません。
水の中ではそもそも音が伝わりにくく、周りの動きを“目で見て”判断する場面が中心になります。
そのため、難聴児が特別に不利になる場面は多くありません。
また、パラリンピックをはじめとした公式大会でも、聴覚障害の選手には音ではなく光の合図が使われています。
これは「音に頼らなくても安全に競技を進められる」という国際的な考え方が確立されていることを示しています。
水泳は、工夫次第で難聴児が安心して挑戦できるスポーツです。
補聴器を外す時間と“見通しの減少”が不安に感じる
難聴児の水泳で多くの親御さんが不安になるのは、補聴器を外すことで一時的に聞こえにくくなるからではないでしょうか。
音での情報が減ると、周囲の状況がつかみにくくなるように感じるのは自然なことです。
さらに、プールは反響音が多く、水音や声が混ざりやすい環境。
初めての場所では、子どもが「どこを見ればいいの?」と迷いやすく、これも不安を大きくします。
しかし実際には、水泳はもともと “視覚で進めるスポーツ” であり、動きや位置、コーチの合図など、ほとんどが目で見て判断できます。
不安の多くは「音が聞こえないことで困るかもしれない」という想像から生まれるもの。
実際に始めてみると、思ったよりも自然に動ける場面が多く、安心して取り組めるケースがほとんどです。
水泳は“視覚で進めるスポーツ”|難聴児が不利になりにくい理由
水泳は一見「音で指示を受けるスポーツ」のように思われがちですが、実際には視覚で状況を判断して進める競技です。
水の中では音が大きく歪んで伝わりにくく、健聴の子でも細かい声かけはほとんど聞こえません。
そのため、子どもたちは自然と以下のような“視覚情報”で動きを判断しています。
- コーチの動きやジェスチャー
- 前の子のフォーム
- 体の向きやスタート姿勢
- ターンや到達位置の目安
難聴児にとっては、これらの視覚的なヒントがわかりやすいため、音が聞こえにくいことが直接のハンデになりにくいという特徴があります。
また、水中はもともと「世界全体が無音に近い」環境。
補聴器を外していても、周囲との条件は大きく変わらないため、子ども自身も落ち着きやすい場合があります。
水泳が難聴児と相性が良い理由は、まさにこの“視覚中心”の構造にあります。
パラリンピックの水泳では“光の合図”が基本|難聴児にも応用できる理由
パラリンピックの水泳では、聴覚障害の選手に対し音の笛ではなく“光のスタート合図”が採用されています。
フラッシュライトや手旗など、誰が見てもはっきり分かる“視覚のサイン”で競技が進められる仕組みです。
一方、テレビなどで見かける「長い棒で肩や背中を軽くタップする行為(タッピング)」は、視覚障害(特に全盲)の選手向けのサインであり、難聴の選手には使われません。
視界が見えない選手に、ターンやゴールのタイミングを知らせるための方法です。
つまり、聴覚に障害がある選手は、“視覚で判断できる環境” があれば安全に競技を行えるという前提が、国際大会レベルでも確立されているということ。
この考え方は、子どものスイミングにもそのまま応用できます。
コーチが手振りや体の向きで合図をしたり、見やすい位置に立ったりするだけで、補聴器を外していても安心してレッスンを受けられます。
水泳は、世界の舞台でも“視覚を活かすスポーツ”として成立している——
それが難聴児にとっての大きな安心材料になります。
難聴児が安心して水泳できる工夫|すぐにできる3つのポイント
難聴児が水泳を安全に、そして楽しく続けるためには、特別な準備が必要なわけではありません。
“見てわかる合図” を増やすことと、子ども自身が安心できる環境をつくることが何より大切です。
ここでは、すぐに実践できる3つのポイントを紹介します。
① コーチとの事前連携をしておく
- 補聴器を外していること
- 合図は手振りや体の向きで伝えてほしいこと
- 不安が強い日はプールサイドで様子を見ることもあること
この3点を伝えておくだけで、子どもが感じるストレスは大きく減ります。
コーチに視覚の合図をお願いすることは、“合理的配慮”の考え方にも通じます。
合理的配慮について解説したこちらの記事も参考になります。
合理的配慮とは?|手帳の有無・対象・具体例を法律の根拠からわかりやすく解説
② スタートやストップは“視覚のサイン”を採用する
パラリンピックと同じように、
- 手を前に出してスタート
- 大きく手をクロスしてストップ
など、目で見て分かる合図を決めておくと、子どもが迷わず動けます。
とくに「フライングでリスタート」の場面では、前方に立つコーチの動きが頼りになります。
③ 子どもの“安心のペース”を優先する
最初はプールの雰囲気に慣れるだけでもOK。
少しずつ距離を伸ばし、できることを広げていけば十分です。
無理に周りと同じペースに合わせる必要はありません。
子どもが安心して楽しめているかどうかが、一番大切な指標です。
もしレッスン中に聞き返しが急に増えた場合は、中耳炎の可能性もあります。
中耳炎のサインや対応についてまとめた記事も合わせてご覧ください。
気をつけて!中耳炎|難聴児が“聞こえにくくなる理由”と早期発見のポイント
トリケラ家の実体験|とうことそらがスイミングを始めて気づいたこと
トリケラ家では、長女とうこ・次女そらの2人が5歳からスイミングを始めました。
きっかけは、保育園がレッスンの送り迎えまでしてくれる「園内スイミング」 があったこと。
お昼寝の時間にバスが迎えに来て、レッスン後はまた保育園に戻してくれるという、無理のない形でスタートできました。
入会時には、2人とも感音性難聴であること、レッスン中は補聴器を外すため聞こえにくくなることを伝えています。
コーチの方々は理解を示してくださり、視覚的な指示を中心に教えていただいています。
とうこのクラスでは、スタートの合図にコーチが“水を手で叩く”動作を使っています。
これは音に依存せず、動きそのものが視覚的に分かりやすいため、難聴児にとってとても相性の良い方法です。
実際、とうこもこの合図で迷うことなくスタートできています。
進級テストや大会では、合図が笛だけになるのかまでは分かりませんが、もし不安がある場合は、事前に
「視覚でも分かる合図を入れてもらえますか?」
と伝えておくことで、多くのスクールが対応してくれます。
とうこは保育園卒園後もスイミングを続け、今はクロール25mの練習に挑戦中。
水に入ると表情が柔らかくなり、楽しそうに泳ぐ姿が印象的です。
ただ、級が上がるたびに担当コーチが変わるため、難聴である情報がしっかり引き継がれているのか不安に感じる場面もあります。
そんなときは、保護者の側から改めて補聴器のことや合図の希望を伝えておくことで、子ども自身の安心につながります。
実際に通わせてみて感じるのは、“難聴だから水泳が難しい” のではなく、環境が整えば自然に楽しめるスポーツであるということ。
水中での体験が、子どもたちの自信や達成感にも大きくつながっています。
まとめ
水泳は、難聴児にとっても安心して挑戦できるスポーツです。
水中は音が伝わりにくく、もともと動きや合図など“視覚で判断する場面”が中心のため、補聴器を外していても大きな不利にはなりません。
さらに、パラリンピックでも聴覚障害の選手に向けて光のスタート合図が使われるなど、“音に頼らない方法で競技を進める仕組み” が国際的に認められていることは大きな安心材料です。
もちろん、コーチとの事前連携や視覚で分かる合図の工夫は必要ですが、環境さえ整えば子どもは自然と水に慣れ、自信をつけていきます。
実際に、トリケラ家のとうこもそらも、5歳から無理なくスイミングを続けることができています。
「難聴だから難しい」ではなく、「安心できる方法を一緒に見つけながら、子どもの世界を広げていく」——
水泳はそんな体験を育ててくれるスポーツです。
体力もつくので、難聴児でもスイミングの習い事はおすすめですよ!



